11月6日

内臓を返してよ、俺。隙間明かりだけの部屋で、よくもやってくれたな。NHKのような有形無象の芸術がもっと必要だ。苔さえも干上がった一人二人だけの洞だ。烏の声を忘れるな。


カラシニコフ カラシニコフ カラシニコフ。人の実践しようという意思、日常の悪そのもののような名銃とその人の名。


まだ20代にして久しぶりに地元を歩いているだけで、顔見知りの警官にちょっと署に寄って話を聞かせろと言われるタイプの友達が居る。彼が別れた妻から子供を引き取って、主夫を始めていた。似合わないが彼らしい。

友達が言った「生活の仕方とかムチャクチャでー。母親も週に2日くらいしか帰らないしさー」「脱いだ服を洗濯機に入れられないとか、そういうの?」「それ以下だね」8歳の彼はというと、新しく出来た友達と可愛い笑顔でサッカー(の真似事のような球蹴り)をして遊んでいた。陽が落ちても帰りたがらなかった。

友達が上着を着せようとすると、腕を突っ張って着せにくくして遊んでいた。僕が馬鹿丁寧な自己紹介の挨拶をしてみると、はにかみながら挨拶を返してきた。父の友達である僕を、自分の友達として取り込めないかと企んでいる顔つきをした。また遊ぼうねと言うと、顔を背けて何の返事も返してこなかった。

本当にこの世界は完璧なのか?

僕と友達の間には、今日の夕方のあらゆる細部が持つ曖昧な毒を世界中に撒き散らしてやりたい、という雰囲気があった。僕らはいつもそんな関係だし、全然親しくもない上辺だけの付き合いだ。

どうしたらいいんだろう。やらなければならない事がいっぱいあるはずなんだ。贅沢にも自分の事を省みる時間なんてもうないはずだ。でも何をしたらいいんだ、何をしたらいいの?