5月10日

国道外れの薄や葦が茂る荒れ野原の中の小さな自動車修理工場の脇の紅白の高い鉄塔の上の、一つ目の白痴の月。


ざわつく部分があって嬉しいよ。扱いかねているけれど。


七歳の少女は飛行機雲に興味を持たなかった。分離帯の草の穂にも。黒いサンダルを脱いだ足をシートに投げ出して、走行距離計が1キロずつ増えていくところだけを見ていた。

うっとりした顔で、インドマグロが食べたくなってきちゃったと言った。