11月20日
住んだことのない街の田園は、畑は知っているものより青く、農夫は知っているものより薄く、空は知っているものより高く、雲は知っているものよりも淀んでいて、全て懐かしく愛おしくて、うんざりする。捨てられないものなんて何もないな。
いとし子の笑顔も切り刻める自分を知ってるし、運命には「でも」がつくし、朝は紫だか緑だか膿んでいて、いまだに真心を信じているのは何故だろう。
ああ、誰か他人を傷つけて愉しみたい。
両手があの経血で重たいけれど、この腕で誰かを抱き締めるのが自分への一番の罰だろう。
挨拶をしただけで壊してしまいそう。
面白い人が足らない、あれもこれも中途半端。
ちょっといじめられるくらいで満足するのって、なんなのだろう。
全部知り尽くして無意味にしてやりたい。
物足りない、明日どうしたらいいのか。
死んだあとでも、こんなに取り戻せるんだな。