5月29日

今は嘘しかつけないけれど、いつか本当のことを言うから、一緒にいてくれますか。


ドアのパッキンの裏側に夕べの雨が、言えなかったこと泣けなかったことばかりが体にこびりつくのだと思っていた、会えなかったこと軽蔑したことで身動きが取れない、未明の後擦れの雲足が早い、誰の為でもなかった自分などもう遠すぎる。


どうせ裏切った時には笑ってしまうんだ、生まれた時から。


少年になりたかった事など一度もない。今に至ってもなお思えない。それなのにかつて少年であったものになんてどうしたらなれるんだ。


部屋の軋みや秒針が全部聞こえて、自分がどれほど戻ってきたか驚く。