4月20日

水銀灯の下だけが現実で、山際の海老茶色が赤信号の点滅に沈む。この橋から見る紅い街は、不死の街。


手元にあるものを見る時の自分の目を知りたくない。


最後だと思ってあげたものが最初だったのかな。


休閑期の畑の下草が、宣伝の為に一晩中灯っている学習塾の看板の照明で明るかった。歩いてみたら靴が濡れた。


音を止めたヘッドフォンが耳元で風鳴りを作っている。もう一度出来るのだろうかと考えている。昨日も考えていた。


耳鳴り、飛行機、夜にだけ見えるものが明日も見えてしまいそう。


生まれて来なかったとしてもしたであろうことも、してみたい。この耳が無かったとしても聞いただろう音を聞きたいし、この心が無かったとしても触れたであろうものに触れてみたい。


”触れたところに散る火花が僕であり貴方であって、ずっとずっと前から願っていたものであり必ず消えるもの”囁き。